不眠症 箱灸
よもぎに含まれるシネオールという香りの成分には交感神経の働きを抑え、副交感神経の働きを高めてくれる効果や、脳を落ち着かせる効果、睡眠を促す効果などの、リラックス作用があります。主な香りの成分はシネオール、αツヨンです。シネオールは高ぶった神経を鎮静化しイライラ解消、安眠作用、利尿作用があります。αツヨンには高い殺菌・防腐効果、リラックス効果があります。交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れると、身体がだるくて疲れが取れない、よく眠れないなどという、いわゆる不定主訴である、なんとなく体が不調となります。このなんとなく不調の延長線上には、身体の冷えも原因になります。ストレス社会といわれる現代では、脳内は交感神経が優位に働きがちです。不眠を感じる夜には、箱灸で体を温めてみるのも良いでしょう。温熱効果によって血管が収縮・拡張し、副交感神経優位になり、眠りを誘います。お灸をすることによって、よもぎの成分が皮膚の表面や嗅覚から内部に浸透していきます。成分はもぐさを燃やした際にでる煙にも含まれており、またもぐさの匂いにはリラックス効果もあります。今回は、箱灸に、季節のさくらを合わせました。さくらの独特の香りの主体はクマリンという成分なのですが、通常の花や葉の中で は、糖と結合した配糖体という状態で存在するため、実は美しく咲いている生の桜の花からはあの香りはしません。しかし塩漬けにされると糖が分離 してクマリンが生成され、甘い香りを放ちます。私たちが桜の香りとして思い出すのは、桜餅を包む塩漬けの桜の葉や、桜ご飯や、アンパンに使われる塩漬けの桜の香りです。クマリンには鎮静作用・リラックス効果・睡眠促進の効果があるといわれています。心地良く独特の上品な芳香を持つ桜の香りを楽しむために、お灸の箱の中に、塩漬けのさくらをひとつまみ入れてみました。桜のあの独特な、春の香りが広がり、柔らかな眠りに誘います。